皆さんこんにちは。
機能性表示食品の開発・届出を支援する妖精「木ノウ精」です。
富士山のふもとの三生医薬から機能性表示食品の開発に役立つ情報をお届けします。
この記事は、2024年12月26日に執筆しています。
これまでコラム第1回「機能性表示食品とは?」では、市場動向、法区分や届出プロセス、販売する上での注意点など、機能性表示食品に関する基本情報を、第2回では「機能性表示食品の届出について」お届けしました。届出するには様々な資料をそろえていく必要があります。
届出資料の作り方はなんとなくわかったけど、実際のものづくりはどうすればいいの?という方に向けて、機能性表示食品の開発をする際の基本ステップを分かりやすく解説します。これから機能性表示食品を開発したいと思っている担当者の方が、実務に活かせるように整理をしています。
機能性表示食品を開発する前提として、大きく分けて2つのパターンがあると思います。
① 自社で独自の原料/商品を持っていて、それを使って機能性表示食品にしたい
② 機能性表示食品に対応できそうな独自の原料などはないが、機能性表示食品を開発したい
上述の①の場合は、自社独自の原料/商品がまず機能性表示食品に対応できそうか検討する必要がありますが、検討しなければいけない項目がかなり多くなります。一般的には、②の自社で独自の原料などは持っていないが、何か機能性表示食品を開発して販売したいというパターンが大多数だと思います。
本コラムでは、そういう初めて機能性表示食品を開発したいけど自社には独自の原料がないという方に向けて、どうやって機能性表示食品を開発していけばよいかということについて説明したいと思います。まずは大まかな流れを知りたいという方はこちらの『納品までの流れ』をご確認ください。
では早速、機能性表示食品を開発する基本的なステップについてみていきましょう。
1.市場調査:消費者ニーズの把握と競合分析

まずは、どのようなヘルスクレームの商品にしていくのかを決める必要があります。そのためには消費者のニーズや市場トレンド、競合商品としてどのようなものがあるのか?といったことを把握する必要があります。
市場として大きなところが必ずしも良いわけではありません。競合商品が多く競争が激化している可能性があります。逆に、全く市場がないとニーズがない可能性も十分にありますが、そもそもニーズを満たす商品がないために市場が形成されていないだけで、実は狙い目ということもあります。ここはしっかりと市場調査を行って戦略を立てる必要があります。
ただし、機能性表示食品はどのようなヘルスクレームも自由に記載できるわけではありません。機能性表示食品制度は、機能性関与成分によって健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的が期待できる旨を容器包装に表示することができるものです。機能性表示食品の届出等に関するマニュアル(旧ガイドライン、以下、マニュアルと示します)には、具体的に認められない表現例が以下のように示されています。
① 疾病の治療効果又は予防効果を暗示する表現
(例)「糖尿病の人に」、「高血圧の人に」 等
② 健康の維持及び増進の範囲を超えた、意図的な健康の増強を標榜するものと認められる表現
(例)「肉体改造」、「増毛」、「美白」 等
③ 科学的根拠に基づき説明されていない機能性に関する表現
(例)限られた免疫指標のデータを用いて身体全体の免疫に関する機能があると誤解を招く表現、
in vitro 試験や in vivo 試験で説明された根拠のみに基づいた表現、抗体や補体、免疫系の細胞などが増加するといった in vitro 試験や in vivo 試験で科学的に説明されているが、生体に作用する機能が不明確な表現 等
機能性表示食品はあくまで健常者を対象としたものであり、健康の維持・増進を目的としたものです。疾病を持つ人が、医療が必要でないかのような表現をすることはできません。
肉体改造や美白も健康の維持・増進の範囲を超えたものになります。ただ、ダイエットや美容系のヘルスクレームがないわけではありません。肌の弾力や潤いは肌の健康を守ることにつながるため、認められています。

ダイエットに関連した項目の体脂肪や内臓脂肪などの減少は見た目の問題だけではなく、肥満に伴う疾病に関連するため健康の維持に寄与するものとなります。一方で、体脂肪を減らす必要がない健常者に対して体脂肪を減らすという機能性を訴求すると健康の維持・増進の範囲外となるので注意が必要です。ここは今回のコラムでは詳しく説明しませんが、広告宣伝とも関連するので注意が必要ですね。
また機能性表示食品制度が開始した当初は、上述の③の限られた免疫指標のデータを用いて身体全体の免疫に関する機能があると誤解を招く表現では認められないということであったので、免疫関係のヘルスクレームは難しいだろうというのが大方の見方でした。しかし、制度が始まって5年が経過した2020年に、初めて免疫機能の維持に関するヘルスクレームが受理されています。これは限られた免疫指標ではなく免疫の司令塔と呼ばれるpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)の活性化に関わることが説明されたので③の事例から外れているという解釈となります。
このように今までにヘルスクレームとしては認められていないものであっても、科学的根拠に基づいて適切な説明をすることができれば、全く新しい市場を作ることも可能となります。
今回のコラムでは、独自の原料などは持っていないが、何か機能性表示食品を開発したいという方に向けて解説しているので、どのような市場で勝負をするかは基本的に、原料メーカーなどが持っている情報(ヘルスクレーム、届出資料)の中から選択することになります。OEMは多くの機能性表示食品制度に対応した原料の扱いがあるので、どのような市場があるのか相談してみるのが近道かもしれません。
2.商品コンセプトの企画
参入したい市場がある程度決まったら、次は商品コンセプトの企画をしていきます。ここは機能性表示食品に関わらず商品開発では一般的にしなければいけない項目ですね。状況に応じて他にも実施事項や決定が前後する項目はあるかもしれませんが、大枠の実施項目を下表に整理してみました。
詳細な商品コンセプトを作りこむのは非常に大変です。特に、3. 商品概要や4. 訴求については、初めての機能性表示食品の開発をする際にはなかなか難しいと思います。OEMには商品企画から一緒に作り込んでくれるところもありますので相談されると良いと思います。
3.原料調査
訴求などの商品コンセプトが固まってきたところで、開発する商品にどのような原料を使用するかを調査していく必要があります。1つの訴求でも対応できる原料は複数あるのが一般的です。原料によって価格や摂取量が違うことはもちろんのこと、原料の持つ印象・認知度やヘルスクレームの微妙な表現の違いなどもあります。
原料の持つ印象・認知度として、例えば、特定の乳酸菌やビフィズス菌は、機能性表示食品制度に対応したものです。一般消費者にも乳酸菌やビフィズス菌は整腸作用があるということは広く認知されているため、受け入れられやすいものとなります。
ヘルスクレームでは、例えば、血圧訴求の場合、単に『血圧が高めの方の血圧を下げる機能がある』というものもあれば、『血流(末梢)を改善することで、血圧が高めの方の血圧を下げる機能がある』などプラスアルファの情報があることでより訴求力を高めたものもあります。
こういった要素について原料を調査していく必要がありますが、1つ1つの原料メーカーに問い合わせをしていくのは気の遠くなる作業になると思います。最新の原料情報を把握しているOEMに相談したり、機能性表示に対応した原料がまとめて紹介されている業界紙の特集などを活用したりすると、効率よく原料調査を進めることができると思います。
4.処方・商品設計
使いたい原料がある程度決まったら、具体的な処方設計が必要となります。商品コンセプトから、1つのヘルスクレームにするのか、複数のヘルスクレームにしてより訴求力を高めるのか、機能性関与成分とは関係ないけど一般的に健康に良いことが知られている素材を副素材として配合するのかなどを考えていきます。
加えて、配合や食品形態が賞味期限に影響することもあります。機能性表示食品制度では表示している機能性関与成分量を賞味期限内担保する必要があります。できるだけ長い賞味期限を設定したいところですが、配合や食品形態が機能性関与成分の安定性に大きく影響してしまうこともあります。サプリメント形状の場合、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、顆粒などの剤形がありますが、単なる形状の違いだけではなく、それぞれに特徴があります(それぞれの剤形の特徴はこちら)。機能性関与成分の品質の担保ができ、かつ、飲みやすさや見た目なども考慮しながら設計をしていきます。原料の組み合わせや剤形がどう影響するかなどは、多くの専門的な知見が必要となりますので、これについてもOEMに相談するのが良いと思います。
5.試作
機能性表示食品の製造を多く受託しているOEMには、それぞれの機能性関与成分の特徴に関する多くの知見が蓄積されていて、精度の高い提案をすることが可能です。しかし、1つ1つの開発品は、開発される方々の強い思い入れがあり、独自の処方となっていることが多いです。そうすると配合している素材が機能性関与成分にどう影響するかということの確証が持てません。上述したように機能性関与成分は賞味期限内において、表示している量以上が含まれることを担保する必要があります。機能性関与成分が減衰することを考慮して処方設計するのが一般的ですが、経時的な変化を評価して品質が担保できるかを確認する必要があります。そのため、各種試験で評価して品質規格や賞味期限を設定するための試作品を実際の製造設備を使用しながら作っていきます。
6.各種試験・試作品の評価

上述したように、賞味期限の設定をするために試作品を製造しますが、それだけではなく顆粒やチュアブルなど味や香りがするものなどは実際に食べて評価したりすることも重要です。
こういった味や香りがターゲットに受け入れられるかモニターをすることなどもあります。飲みやすさや体感についても評価する必要があるかもしれません。
試作品を使ってパッケージに栄養成分表示をするために必要なエネルギーやたんぱく質などの分析をすることも必要です。製剤に関する細かい試験項目はOEMが設定するので、お任せで良いと思います。
7.製品仕様の確定
試作品を使った各種試験による評価を経て、実際に製品を製造する上での細かい製品仕様を決めていきます。決められた項目を製品規格書や製品標準書と呼ばれる書類に盛り込んでいく必要がありますが、これもすべてOEMが作成する書類なので、お任せで良いと思います。ただし、これは仕様の取り決めなので、販売者でも確認は必要です。後々のトラブルにならないように不明点などはOEMに問い合わせてしっかりと確認しておきましょう。
8.パッケージデザインと包装仕様の確定
上述の製品仕様としては中身(サプリメント形状の場合、カプセルや錠剤など)のことを中心に説明しましたが、パッケージ(包装)も重要です。デザイン性の問題だけではなく、販売価格に合った包装仕様にすることや輸送を考慮した包装仕様にすることも重要です。
例えば、高価格帯の商品であれば、パッケージもそれに見合った高級感が必要です。チャック付きアルミ袋よりボトルを紙箱に入れるなどの包装仕様を工夫することも大切です。
通信販売などでは消費者に商品をお届けする輸送コストがネックになる場合もあります。輸送コストの安いメール便で送れるサイズにしたいなどの販売チャネル特有の課題も考慮しながら開発を進めていきましょう。
OEMのなかには包装に特化した部署を持つところもあるので相談すると面白い提案がもらえることもあるかもしれません。
また、機能性表示食品制度はパッケージに機能性を示すことができる制度ですので、パッケージデザインや表示しなければいけない文言などが細かく決められています。そういう細かい決まり事についてもサポートしてくれるOEMがあるので、開発するときには相談しながら進めていく、もしくはデザイン案ができたところでチェックしてもらうなども1つの方法です。
9.届出資料の作成・届出
ここまで来たら次は届出資料の作成と実際の届出です。この詳細については『第2回 機能性コラム:機能性表示食品の届出について』で詳しく説明しています。
10. 受理及び製造
機能性表示食品制度では届出が受理されてデータベースに公開されて初めて販売することができます。また受理後に届出番号が消費者庁から届出者に連絡が来て、その番号をパッケージに入れる必要があります。そのため、受理されて届出番号が決まるまで包材の生産をすることができません。

また、届出をしても差し戻しになる可能性もあります。差し戻しになると、また数カ月を要してしまいます。包装前の中身の製造だけでも先にしたいという考えもあるかもしれませんが、機能性関与成分の安定性を考慮して一般的には受理後に製造をスタートするのが良いでしょう。これらのことも考慮して開発スケジュールを設定しておく必要があります。
開発者として初回製造は立ち会いしたいという場合もあると思います。
OEMでは開発者の皆さんと一緒に作り上げてきたという思いがあるので、製造立ち合いをしてできあがるところを確認したいと伝えてもらえるといいかと思います。
11. 納品
ここまで機能性表示食品の開発をするには多くのステップがあることを説明してきました。開発者の皆さんの手元に実際の製品が納品されたときには感動もひとしおだと思います。
ただ、もう少しだけ頑張って品質の確認をしていきましょう。
必ずしも自社で品質検査をする必要はないので、OEMから発行される試験成績書などの検査結果を確認して製品規格書と相違がないか、特に機能性関与成分量が表示値以上となっているかなどを確認していきましょう。
12. 販売開始
やっとの思いで開発した製品の発売です。多くの想いが詰まった商品が売れていくのが楽しみな段階ですね。
あらためて整理をすると、機能性表示食品を開発して販売するまでには多くのことを考えないといけないなと驚きですが、一番大切なのは、最初に示したどのような市場で勝負をするのかを決めるところだと思います。そこが決まればその後は、機能性表示食品のサポートが得意なOEMに相談していくと大部分を提案してくれます。
三生医薬もこれまでに多くの機能性表示食品の開発をサポートしてきた実績があります。
機能性表示食品の開発に興味がある、困りごとがあるという方は、こちらのお問い合わせよりお気軽にご相談ください。