機能性コラム

2025.10.21

投稿日 2025.08.22

機能性表示食品とトクホの違いとは?どちらを選ぶのが良いかも解説

  • 機能性表示食品とトクホの違いとは?どちらを選ぶのが良いかも解説

皆さんこんにちは。

機能性表示食品の開発・届出を支援する妖精「木ノウ精」です。

富士山のふもとの三生医薬から機能性表示食品の開発に役立つ情報をお届けします。

本コラムは、2025年8月28日に執筆しています。


「機能性表示食品とトクホの違いは何?」

機能性表示食品の開発に興味を持つ方の中には、上記のように迷っている方も多いのではないでしょうか。

両者は健康をテーマにした制度ですが、審査体制や科学的根拠の求められ方などに明確な違いがあります。

本コラムでは、機能性表示食品とトクホの制度上の違い、審査体制や使用できる科学的根拠の種類、表示方法の特徴まで詳しく解説します。

また、どちらを選ぶべきかのポイントについても紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

機能性表示食品とトクホの違い

白衣を着た女性の画像

機能性表示食品とトクホはいずれも「健康に役立つ」とされる食品ですが、制度設計や消費者への伝え方に大きな違いがあります。
機能性表示食品は、事業者が科学的根拠を基に消費者庁へ届出を行い、国の個別審査を受けずに機能性が表示できる点が特徴です。

一方でトクホは、食品ごとに消費者庁が科学的根拠を審査し、認可を受けた食品のみが「トクホマーク」を表示できます。
この違いにより、機能性表示食品は選択肢の多さが魅力であり、トクホは国の個別審査・許可を経る点が特徴で、制度そのものの信頼性を背景に、消費者からも安心感を持って評価されやすい点が強みといえます。
それぞれの制度の特徴について、以下で詳しく解説します。

機能性表示食品とは

機能性表示食品は2015年に制度化され、健康の維持や増進に役立つ機能を表示できる食品¹です。
事業者が自ら科学的根拠を整え、消費者庁に届出を行う仕組みとなっています。
国の個別審査は不要であるため、トクホと比べて新しい成分や多様な製品が市場に出やすいことが特徴です。
例えば「脂肪の吸収を抑える」「記憶力を維持する」などの表示が可能ですが、あくまで事業者責任であり、科学的根拠の質を確かめたい場合には、消費者自身が届出番号をもとに公開情報を確認できる仕組みになっています。

トクホとは

トクホ(特定保健用食品)は1991年に始まった制度²で、健康効果を表示する食品の先駆けです。
食品ごとに消費者庁の厳格な審査を受ける必要があり、最終製品によるヒト試験の実施が基本とされています。
許可を受けた製品には「トクホマーク」が付与され、消費者にとって信頼性の高い目印になります。
代表的な例として、血圧低下作用が認められた飲料や整腸作用のあるヨーグルトなどがあります。

なぜこの2つの制度が存在するのか

機能性表示食品とトクホが並立する理由は、消費者により多くの選択肢を提供するためです。
トクホは高い信頼性がある一方で、開発に時間やコストがかかるうえに審査もあるため、製品数が限られるという課題がありました。
そこで、より柔軟に市場へ製品を投入できる制度として機能性表示食品が導入されました。
これにより、科学的根拠を持つ多様な製品が流通しやすくなり、消費者は価格や機能性に応じて食品を選びやすくなったのです。

機能性表示食品とトクホの審査体制の違い

機能性表示食品とトクホの違いについて、以下にまとめました。

機能性表示食品トクホ(特定保健用食品)
国の審査なし
事業者の責任で消費者庁に届出
あり
個別審査のうえ消費者庁長官が許可
根拠の確認方法
(機能性の根拠に関するもの)
ヒト試験または研究レビュー(システマティックレビュー(SR))を提出最終製品によるヒト試験が必須
販売までの期間エビデンス準備に9〜12ヶ月、場合によっては1年以上数年かかることも多い

両制度の最も大きな違いは、審査体制にあります。
それぞれの特徴について、以下で詳しく解説します。

機能性表示食品は事業者責任で届出をする

機能性表示食品では、販売する事業者が自ら科学的根拠を整え、消費者庁に届出を行います¹。
表示しようとする機能性の科学的根拠にはヒト試験や研究レビューを用いることができますが、その妥当性を評価・判断するのは事業者自身に委ねられています。
加えて、国による個別審査も必要ないため、市場投入までの期間を短縮でき、コストも抑えやすいというメリットがあります。
一方で、届出内容に不備があると差し戻しが発生したり、科学的根拠の示し方に不十分な点があると後々指摘を受ける可能性もあります。
そのため、適切なエビデンス設計や表示戦略を事前に整えておくことが、リスクを避けつつ信頼性を確保するカギとなります。
こうした届出やエビデンス設計に不安を感じる場合は、OEMや制度対応に精通したパートナーに相談することが効果的です。

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トクホは国が個別審査する

トクホの場合、製品ごとに消費者庁が厳格な審査を行います²。
提出されたデータは専門家が精査し、科学的に十分な根拠があると判断されて初めて許可されます。
この審査には時間とコストがかかるため、新製品の投入スピードは機能性表示食品に比べて遅くなる傾向があります。

科学的根拠を提示する方法の違い

機能性表示食品とトクホでは、科学的根拠の示し方にも大きな違いがあります。

機能性表示食品トクホ(特定保健用食品)
ヒト試験 または 研究レビュー(システマティックレビュー(SR))最終製品によるヒト試験が必須

機能性表示食品は、ヒト臨床試験を行うほか、既存の論文や研究レビューを活用できる柔軟性がある一方、トクホは「最終製品そのもの」でヒト試験を実施しなければなりません。
両者の具体的な違いについて、以下で詳しく見ていきましょう。

機能性表示食品:ヒト試験または研究レビューが可

機能性表示食品では、機能性の根拠として以下の2つの方法が認められています。

  • 最終製品を用いたヒト試験の実施³
  • 最終製品又は機能性関与成分に関する研究レビュー(システマティックレビュー)

これにより、過去の研究を活用しつつ製品を市場へ投入できるのが特徴です。

トクホ:最終製品によるヒト試験が基本

トクホの最大の特徴は、最終製品自体を使ったヒト試験⁴が必須である点です。
成分単体ではなく、実際の飲料や食品を対象に効果が確認されるため、実生活での効果が期待しやすいといえます。
その分、開発コストや審査に時間がかかりますが、科学的根拠の強さや消費者の安心感は高まります。

機能性の表現の違い

機能性表示食品とトクホでは、消費者に伝えられる表現の幅にも違いがあります。
トクホは国の審査を経て許可された内容を表示できるのに対し、機能性表示食品は事業者が科学的根拠を示して届出を行う仕組みです。
そのため、例えばSR(システマティックレビュー)を根拠とする場合には「〇〇の機能が報告されています」といった表現が義務づけられており、表示の仕方にも制度上の制約があります。

表示方法とマークの違い

製品を市場に投入する際、表示方法やマークの有無はブランド戦略にも直結します。

機能性表示食品トクホ(特定保健用食品)
なし(届出表示と番号のみ)あり(トクホマーク)
トクホマーク

トクホは「トクホマーク」という強力なシンボルを活用でき、消費者に一目で認知させる効果があります。
一方、機能性表示食品はマークを持たず、パッケージ上部に表示される「機能性表示食品」という表示と届出番号が目印となります。

トクホマークをつける意味

トクホマークは消費者庁の厳格な審査を通過したことを示すシンボルです。
競合製品との差別化や高価格帯製品の展開に有利です。
とくに新規市場開拓や高齢層へのアプローチでは、トクホマークの知名度の高さが購買意思決定に直結しやすいでしょう。

機能性表示食品の表示と届出番号

機能性表示食品はマークが存在せず、パッケージ上部に「機能性表示食品」と「届出番号」が記載されます。

トクホのような即時に認知させる効果はないものの、製品特性に合わせて柔軟な表現が可能です。

また、消費者庁のデータベースで届出情報が公開されるため、透明性をアピールできるのも強みです。

情報公開の仕組み

機能性表示食品では、届出情報(機能性・安全性・表示内容等)が消費者庁のウェブサイトで公開されます。
対してトクホは国が審査を行う仕組みであり、許可品目一覧が公開されているのみで個別の審査情報を公開する必要はありません。
そのため、「透明性を活かすか」「国の個別審査・許可を活用するか」という制度ごとの特性を理解して開発方針を検討することが重要です。

機能性表示食品とトクホ:選び方のポイント

PCを操作する男性の画像

新規に健康食品の開発を検討する際、機能性表示食品とトクホのどちらを選択するかは、単なる制度の違いではなく、事業戦略や市場でのポジショニングにも直結します。
開発にかかる費用や期間、ターゲットとする消費者層によって、どちらを選ぶべきかの最適解は変わってきます。
特に意識しておきたい選び方のポイントは、以下の2つです。

  • 多様な機能性による製品設計の柔軟性重視なら機能性表示食品
  • 国のお墨付きを重視するならトクホ

想定する販売チャネルやターゲット層、差別化戦略に応じて制度を選択することが重要です。
それぞれの選び方について、以下で詳しく解説します。

多様な機能性による製品設計の柔軟性重視なら機能性表示食品

機能性表示食品は、比較的短期間で市場投入できるため、スピード感のある製品開発に適しています。
開発コストを抑えつつ、研究レビューや既存研究を活用してエビデンスを整えることも可能です。
そのため、新しい成分やトレンドを取り入れたい企業や、EC・量販チャネルを中心に幅広い層へアプローチしたい企業には有効な選択肢となります。
多様なラインアップを素早く展開することで、競合との差別化や市場ニーズのテストマーケティングにも活用できます。

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国のお墨付きを重視するならトクホ

厳格な審査による信頼性を重視する企業には、トクホの取得が適しています。
トクホは最終製品を用いたヒト試験を前提に、国が個別に審査する制度であり、申請から許可までには数年単位の期間と多額の研究費が必要です。
しかし、その分制度面で高い裏付けを持って市場に投入できます。
特に、高価格帯での展開やシニア層向け市場、医療機関や自治体との連携においては優位性が発揮されやすい制度といえるでしょう。

まとめ

機能性表示食品とトクホはいずれも健康維持や増進を目的とした制度ですが、その成り立ちや審査体制、科学的根拠の提示方法には明確な違いがあります。

機能性表示食品は多様な機能性を持ち、製品ラインアップの拡充や新成分の導入に柔軟性がある点が強みです。

一方、トクホは国のお墨付きを得ることで制度的な信頼性を確保でき、ブランド構築や高価格帯市場での展開に有利です。

企業にとってどちらを選択すべきかは、開発コスト、ターゲット市場や販売チャネルといった事業戦略上の優先度によって異なります。

制度の特性を踏まえ、自社のリソースと市場戦略に適した形で活用することが重要です。


■参考文献

1:機能性表示食品について | 消費者庁

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims

2:特定保健用食品について | 消費者庁

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_specified_health_uses

3:機能性表示食品の届出等に関する手引

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/notice/assets/food_labeling_cms205_250415_02.pdf

4:特定保健用食品の表示の科学的根拠

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/02/s0226-9d1.html

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