皆さん、こんにちは!
機能性表示食品の開発・届出を支援する妖精「木ノウ精」です。
満開の桜もいいですが、ピンクと緑のコントラストが美しい葉桜もいいなと景色を楽しみながら2025年4月14日に、機能性表示食品制度の改正内容の特に表示に関する情報を皆さんにお伝えすべくこの記事を執筆しています。
先日、4月1日に施行された機能性表示食品制度の改正内容の全般についてのコラムを公開しました。(制度改正全般の詳細についてはこちらのコラムをご覧ください)
そのコラムでも予告しましたがパッケージの表示については、複数の具体例が示されていますので、この記事で改めて詳細に解説します。
1. はじめに:制度改正の意図 ―特にパッケージの表示について―
制度改正の意図については前回のコラムでも触れていますが、今回の制度改正の背景として2024年に起きた紅麹サプリメントによる健康被害の問題があります。これを機に、機能性表示食品制度の信頼性回復に向けて有識者による「機能性表示食品制度を巡る検討会」でさまざまな事項が議論されました。その議論の結果が、今回の制度改正に反映されていますが、その中でも表示については、消費者等への情報伝達の在り方について議論された内容となります。有識者の方々の意見の中で、医薬品や特定保健用食品との違いが消費者に明確に伝わっていないこと、主要面への切り出し表示をすることであたかも商品にその機能があるように見せる手法がとられていること、摂取上の注意として医薬品との相互作用の記載が十分にされていないものがあることなどが課題として扱われていました。機能性表示食品制度は事業者の責任において届出してパッケージに表示をするものですが、これまで定められていなかった範囲の中でいかにして訴求力のあるパッケージにしていくかということが販売の1つのポイントでもあるため、曖昧だったり、行き過ぎた表現となっているものもあったと思います。今回の改正では機能性表示食品であることや、商品の機能性ではなくあくまで機能性関与成分の機能であることを明確に表示するようにすることなどが含まれています。
2. 機能性表示食品である旨と届出番号
医薬品や特定保健用食品ではなく、機能性表示食品であることを一目で分かるようにしたいということから、主要面の上部に機能性表示食品という文字を枠で囲んで表示することになっています。消費者が、商品を手にした時にすぐに機能性表示食品であるということが理解できるように、機能性表示食品としてある程度共通の表示にしたいようで、3月の消費者庁からの機能性表示食品制度に関する説明会では、「“視認性を高めたい”ので(表示方法の)バリエーションを増やしたくない」というお話がありました。この部分については消費者庁としては非常に重要な点と考えられているようです。
届出番号は枠で囲った機能性表示食品という文言の近接した場所に記載する必要があります。「近接した場所に示す」ということと、「機能性表示食品という文言は上部に示す」という2点から、届出番号は機能性表示食品という文言の下部、もしくは左右のどちらかとなります。
適切な例として、消費者庁からいくつか事例が出ています(下図参照)。注意をしなければいけないのは、チャック付袋などで、切り取り線の上に記載される場合です。消費者が利用して切り取ってしまうと、その商品が機能性表示食品であることの確認がしづらくなってしまうので、その場合は切り取り線の下部に別途、枠で囲った機能性表示食品との文言と届出番号を記載する必要があります(下図:適切な例③)。
▼機能性表示食品制度に関する説明会資料より抜粋
また、NGとなりそうな表示例と、解説を下図に示しています。告示や手引きには記載されていない内容で、3月の機能性表示食品制度に関する説明会での質疑応答などで説明された内容も含んでいますので、ご参考にしていただければと思います。
3. パッケージ主要面への切り出し表示の是非
これまで多くの機能性表示食品のパッケージで主要面へ切り出し表示として、機能性表示(以下、ヘルスクレーム)の一部だけを切り出して、表現されていました。例えば、機能性表示で、「●●には、コレステロールを下げる機能が報告されています。」として届出されているものが、パッケージでは「コレステロールを下げる」のみが記載されて、さらに文字も大きく強調されているなどされていました。あたかも商品自体にその機能(例ではコレステロールを下げる)があるように見えてしまいますが、機能性表示食品制度では機能性関与成分の機能であり、商品自体の機能についての機能性を評価して届出したものではありません。またSRで機能性の評価をした場合においては、「報告されています。」という表現で臨床試験での届出との区別がされているにもかかわらず、そこが消費者に分かりづらくなっているということも問題でした。このような側面から、切り出し表示については消費者に誤認を与える可能性が高いため、制度改正により明確に禁止事項となっています。
また、切り出し表現ができなくなり、どうにか工夫をして商品の魅力をパッケージの中で表現したいと考えられている方も多いと思います。1つの方法として商品名に○○サポートや△△ケアなど、機能性に関係する文言を入れるというやり方があると思います。これについては、告示や手引きのなかでは制限されていませんが、そもそも今回、切り出し表現を問題視した背景を考えると、消費者庁としてはできればやめて欲しいと考えられているようです。
4. パッケージ主要面への機能性の表示の仕方
上述のように切り出し表示はNGとなりました。では、下図の適切な例①のように、すべてのヘルスクレームをそのまま記載しないと差し戻しになるのか?ということですが、いくつかの表示の自由度はあるようで、例が示されています。
ポイントとしては、SRで届出をした場合、「機能性関与成分が有する機能性について報告されている」旨を的確に表示することとなります。商品が有する機能性ではないので、機能性関与成分に機能があることを明確にする必要があります。また(研究)報告がされているという点も表示する必要があります。下図の適切な例②のように「ルテインの研究報告による」という表現を用いて、その後に機能性の部分だけを切り出して表示することでもOKとしています。
▼機能性表示食品制度に関する説明会資料より抜粋
また、上図の適切な例①で「機能があることが報告されています。」についても以下の言い換え例は、OKとしています。
- 機能があることが発表されています。
- 機能があることが論文に掲載されています。
- 研究報告があります。
- 研究報告が出されています。
加えて、「▲▲する機能があることが」については、以下の言い換えもOKとしています。
- する機能が
- することが
ただし、届け出たヘルスクレームの範囲を超えないようにすることが大切ですので、ご注意ください。
また、複数の機能性関与成分があり、いわゆるWヘルスクレームやトリプル・ヘルスクレームなどの場合は、すべてのヘルスクレームをダラダラと記載すると非常に分かりづらいものになってしまうので、下図のようにデザインで分かりやすく整理することもOKです。3月の機能性表示食品制度に関する説明会でも「機能性表示(ヘルスクレーム)のすべてを書くのは視認性が低くなる場合がある。工夫はできるが、消費者の誤解がないようにしないといけない。」というような内容がありました。いかに消費者が誤認しないように分かりやすく、機能性関与成分が有する機能性について報告されている旨を的確に表示するかがポイントですね。
▼機能性表示食品制度に関する説明会資料より抜粋
5. パッケージ主要面の機能性の強調の仕方
ここまで主要面への表示の仕方について説明してきました。ここからはどう強調して消費者に商品の魅力を分かりやすく伝えるか、ということについてのポイントを説明します。多くの届出で、文字のサイズを変更したり、色を変えるなどして強調を試みていると思います。この部分についても、3月の機能性表示食品制度に関する説明会の質疑応答の中でお話がありました。
まず文字のサイズについてです。例えば「▲▲にはコレステロールを下げる機能が報告されています」というヘルスクレームで、「コレステロールを下げる」だけを強調するために大きな文字で表示して、他は極小の文字で示してよいのか?ということですが、NGです。すべて、同じ文字サイズにする必要はないですが、差分が大きくなりすぎないようにする必要があります。明確に差分がどこまでOKなのかということは消費者庁では決めないということですが、消費者庁が作成された資料では大きい文字と小さい文字の差分が6割程度で作成されているということでした。実際には届出した時に6割程度でも、差し戻し理由として「差分が大きすぎないかご確認いただきたい」ということがあるので、極力、差分が大きくならないように注意が必要です。
次に文字の色ですが、これについては色の規定は特にしていないので、ヘルスクレームの途中でフォントの色を変更することは問題ありません。
6. 摂取上の注意における医薬品等との相互作用のパッケージへの記載
これまでは、摂取をするうえでの注意事項については、「消費者庁長官に届け出た内容を表示する」に留まっていたので、届出資料に記載の摂取をする上での注意事項とパッケージの内容に齟齬がなければ問題ありませんでした。改正により、「医薬品及び他の機能性関与成分との相互作用、過剰摂取等に係る注意喚起について、当該機能性関与成分の安全性に関する科学的根拠を踏まえて具体的に表示する」と記載内容がより明確になっています。安全性評価の別紙様式(Ⅱ)で評価した内容で、医薬品との相互作用などがある場合には消費者に対して分かりやすく注意事項として記載する必要があります。当然、医薬品との相互作用があったとしても、機能性表示食品として販売することの適切性があるので届出されています。医薬品を摂取される方は対象としていないということだけで、摂取する上での注意事項に何も記載しなくてよいわけではないと思われます。幅広い一般消費者が利用される可能性がある機能性表示食品であるからこそ、適切に注意事項を記載しておく必要があります。
7. 届出表示から機能性表示へ
ヘルスクレームの冠は、これまで「届出表示」と示されていました。届出表示という表現は、今後なくなり「機能性表示」という冠となります。
例えば、以下のような表示です。これは表面でも、裏面でもどちらに表示してもよいです。
【機能性表示】本品には○○が含まれます。○○には▲▲の機能があることが報告されています。
8. その他定型文の変更
機能性表示食品では、これまで定型文として決められた文言を表示する必要がありました。その文言も内容が一部変更となっています。定型文だという理解で、過去の届出を参考にしたり、すでに届出されている商品のパッケージを新基準に変更する際にこの部分の変更をせず変更届出をすると差し戻しとなるので注意が必要です。
これまでの定型文の変更点を下表に示しておきます。
9. 終わりに
パッケージのデザインは販売戦略上、非常に重要です。消費者庁としても、明確な線引きでOK、NGを示すことは難しいようです。ただし、今回の制度改正の背景として、消費者が適切な商品選択をするために、情報を正しく伝えることや、機能性表示食品であることの視認性を確保することがあります。それを理解した上でどうあるべきなのかということを考えると一定の答えは出てきそうです。
表示については、2026年8月31日まで経過措置期間が設けられています。すでに届出している商品については、この期間までは旧基準のパッケージでの製造がOKとされており、販売についてはその後も可能とされています。一方で、2026年9月1日以降に製造するためには、それまでに変更届出が受理されている必要があります。資材消化や経過措置期間以降の製造を見据えて、新基準のパッケージへの変更届出などの早めの対応をお勧めします。
ご不明点等あれば、お気軽にご相談ください。

機能性表示食品の開発・届出を支援する妖精。
木ノウ精くん