開発秘話
2025.04.24
投稿日 2025.04.21
醸造家が本気で健康のことを考えて研究してつくった唯一無二のGABA ——他のGABAとは一線を画す三和酒類の大麦乳酸発酵液GABA誕生の物語
なぜ今『大麦乳酸発酵液GABA』が注目されるのか?
健康意識の高まりとともに成長を続ける機能性表示食品市場。
その中でも血圧降下、ストレスケア、睡眠サポートなど複数の機能性と使いやすさからトップクラスの採用数を誇る原料が「GABA」です。
「大麦乳酸発酵液GABA」は、本格麦焼酎「いいちこ」の製造過程でできる「発酵大麦エキス」を用いた乳酸菌発酵法によりつくられ、多様な機能性を有することから多くの企業の注目を集めています。
今回はそんな「大麦乳酸発酵液GABA」のメーカーであり、本格麦焼酎のロングセラー「いいちこ」で知られる三和酒類株式会社を訪れ、開発や営業担当の方々にお話をうかがいました。
左から、中村さん、丸岡さん、新谷さん、石原さん
こんなはずじゃなかった!? 醸造家(研究員)の探求心から偶然見つかったGABAをつくる乳酸菌
本格麦焼酎の製造過程で生じる焼酎粕はかつて使い道がなく、長らく海洋投入されていました。しかしロンドン条約の影響で海洋投入ができなくなったことから、新たな利用方法を模索する日々が続いていました。そんな中、焼酎粕の栄養価の高さを活かして乳酸菌の培養につかって何かできないかという検討がスタートしました。
最初にチャレンジしたのは乳酸菌による天然の抗菌物質「ナイシン」の発酵生産。この時に乳酸菌の培養技術が確立されました。ただ、実用化を目指して設備導入も完了していましたが、ナイシンを含む乳酸発酵液は食品添加物として販売することは難しく、計画は頓挫しました。
同時並行で進めていたのがうまみ成分である「グルタミン酸」の乳酸菌をつかった発酵生産でした。
「グルタミン酸をつくる乳酸菌を探していたところ、逆にグルタミン酸を消費する菌が見つかったんです。」
そう話してくれたのは、当時グルタミン酸生産乳酸菌の探索をしていた研究員の丸岡さん。
簡易キットを使って培地中のグルタミン酸量を測定していた際に、大幅に減少している乳酸菌が1つだけあり、不思議に思ってグルタミン酸の定量をするためにアミノ酸分析をしたところ、同時に分析していたGABAが増えていることがたまたま見つかったのだそうです。
丸岡さん 「ちょうどGABAを関与成分とするトクホ(特定保健用食品)が発売され、徐々にGABAの認知が進んでいる状況だったので、これはいける!と思いました。」
初めての乳酸発酵は苦難の連続。商業化までの長い道のり
「焼酎の発酵はしていましたが、乳酸発酵の設備を入れたのは初めてだったので使い勝手もわからず苦労しました…。」
そう話してくれたのは、大麦乳酸発酵液GABAの製造法を確立した研究室長 中村さん。どちらも発酵なので同じように考えがちですが、焼酎はアルコールなので腐敗の心配がほとんどないのに対し、乳酸発酵の場合は雑菌が入らないようコントロールしなければならず大変苦労したそうです。
スケールアップの際にも、乳酸発酵の業界では常識とされることがわからず、蒸気を吹き込んで滅菌する際に蒸気(水)で培地が薄まり、実験室のようには菌がうまく増えないということもありました。
開発の思い出を熱く語る研究・開発のお二人 (左)中村さん、(右)丸岡さん
中村さん 「最初は乳酸発酵の難しさが社内に理解されず風当たりが強かったですが、とにかく絶対にモノにしてやる!という研究員としての意地のようなものがあって毎日遅くまで働いていました。そんな姿を見て徐々に周りが協力しなければという雰囲気に変わっていったのを覚えています。販売を開始した当初はさっぱり売れず、もやしの栽培にGABAを使いたいという話があって、初めてGABAが6kg売れたときは本当に嬉しかった。」
「いいちこ」をはじめとする三和酒類の主力製品の一升紙パックを模した柱のある通路
「いいちこ」も基礎研究の積み重ねがあり、その上でいろんな要素がうまく組み合わさってできたもの。「大麦乳酸発酵液GABA」もまた、基礎研究に力を入れる風土と熱意ある研究員のいる三和酒類だからこそ開発することができたものと言えます。
他のGABAにはないストーリー性が魅力
「焼酎をつくるときにでてくる副産物を使っているというストーリーは、大麦乳酸発酵液GABAならではのもの。発酵で高純度なGABAができますし、自然にやさしいものづくりといえます!」
そう誇らしげに語ってくれたのは学術担当の新谷さん。
機能性表示食品も商品数が増え、機能性が謳えるというだけでは物足りなくなってきているので、三和酒類独自の製法や副産物を利用しているというストーリー性は大きな魅力になっていると教えていただきました。
化学合成品にネガティブなイメージを持っている人もいますが、「大麦乳酸発酵液GABA」は、単なる「GABA」以外に「大麦乳酸発酵エキス」という自然感や天然感のある表示もできるので、それが安心感につながりやすくケミカルな表示がしたくないお客様におすすめなのだそうです。
自身も実感。エビデンスの強さと体感の良さに自信
「大麦乳酸発酵液GABA」は、業界最多となる7つのヘルスクレーム*が謳えることも魅力。
広告宣伝の幅が広がり、同じ商品でもさまざまな売り方のチャレンジができます。
7つの中でも特におすすめなのが睡眠に関する機能性です。
中村さん 「様々な機能性の評価試験をしてきましたが、自分自身一番体感があったのが睡眠でした。寝る前に飲むと、自然と眠くなっていい睡眠がとれています。」
新谷さん 「深く寝入った状態を示すノンレム睡眠のステージ3で効果が確認されていて、体感としても強く感じることができます。成長ホルモンの分泌にもかかわるので他の機能性にも通じます。」
出典:外薗ら「薬理と治療」46, 757-770(2018)
対象者:睡眠の問題やストレス、疲労を自覚している勤労者25名
試験デザイン:二重盲検クロスオーバー試験
試験方法:2週間連続摂取時の脳波を測定し、睡眠の質を評価
GABA摂取量:100mg/日
消費者に「わっ!いいな」と思ってもらい商品の摂取を継続してもらうには体感が重要。
わずか100mgの摂取で体感が得られるのは「大麦乳酸発酵液GABA」の大きな魅力です。
良質な睡眠は、コロナ以降の日本だけでなく世界的にも需要が高まっており、今後ますますの市場拡大が期待できそうです。
お悩みを持つ人に寄り添った新エビデンスで機能性表示を目指す
新谷さん 「新たなエビデンスの取得にも力を入れていて、最近だと筋力に関する新たな結果が得られ論文も公開されています。」
通常、筋力に関する臨床試験はハードな負荷をかけたものが多いですが、筋力が低下しはじめたロコモ度1の人に合わせた軽い負荷をかけた試験設計が特徴となっています。
新谷さん 「ロコモーショントレーニングという軽いトレーニングと大麦乳酸発酵液GABAを併用することで、歩くために重要な膝まわりの筋力が上がるという結果が得られたので、これをもとにSR(システマティック・レビュー)を完成させ機能性表示食品として世の中に届けたいと考えています。」
出典:Functional Foods in Health and Disease14(4),248-269(2024)
対象者:加齢による筋力の低下を自覚しており、日本整形外科学会が策定した2ステップテストでロコモ度Ⅰ(筋力やバランス力が落ち始めている状態)に該当する40歳以上の健康な中高年男女50名
試験デザイン:ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験
試験方法:12週間連続摂取後の膝伸展筋力で評価
GABA摂取量:100mg/日
世界中の人々の『健康に対して一歩踏み出そうとする気持ち』をサポートしたい
「世界には様々な問題がありますが、その解決のためにベースとなるのが健康です。世界中の人々が健康になればよりよい未来につながる。世界中の人々の『健康に対して一歩踏み出そうとする気持ちをサポートしたい』という思いを持って業務に努めています!」
そう熱く語ってくれたのは営業担当の石原さん。
大麦発酵液GABAの現在と未来の可能性について語る学術・営業のお二人 (左)新谷さん、(右)石原さん
GABAは心の健康につながるので、GABAの商品化と販売は多くの方の健康を後押しします。
すでに「大麦乳酸発酵液GABA」はサプリメント、明らか食品問わず様々な食品に採用が広がっていますが、さらに多くの人にお守りのようにGABAを取ってもらうために、関連企業と連携しながら中食やフィットネスジム、ホテルでの採用を目指したいと話してくれました。
石原さん「当社の大麦発酵液GABAを使えば、業界が違っても安心して機能性表示食品がつくれます。強いエビデンスと手厚いサポートを提供できる強い原料メーカーとして安心して当社を使ってほしいです。」
自然豊かな大分県宇佐市の山中にある本社
■三和酒類株式会社(https://www.sanwa-shurui.co.jp/)
おなじみの本格麦焼酎「いいちこ」をはじめとして、清酒・ワイン・ ブランデー・リキュールなどを幅広く手がける総合酒類メーカー。
設立 :昭和33年9月5日
所在地 :大分県宇佐市(本社)
代表 :西 和紀
従業員数:376名(令和6年10月21日現在)